「着物が着たい!」は変なのか?実体験で感じた着物の壁
●着物を着るのに立ちはだかる壁 3つ
人生が楽になる着物ブログ、あのねです。
アートと染織を学んできて、現在着物メーカーで働く私が着物で毎日が楽しくなるお話をしています。
今回は私が最もメインで発信していきたい着物についてのお話です!
私が着物を着たいと思い立った時にぶつかった三つの壁についてお話します。
私が着物を着たいと思って感じた三つの壁。
- 世間の目
着物を着ているだけで目立ってしまう。恥ずかしい。
- 家族の目
普段着物への理解が難しい。へんな人と一緒だと思われたくない
- 着物警察の目
着物のルールが厳しい
以上の三つの視線が私が着物を着ようと思い立った時に感じた視線です。
どれもなかなかダメージがありましたが、
現在はなぜそのような視線が向けられるのかを理解したうえでさらに着物が着たいという気持ちは強くなっています。
着たいものは着たいのです。その自分の気持ちに蓋をしないで自信を持ってくださいね。
今回は現在着物業界のお仕事にもかかわっている私が着物を着たいと思った時の実体験を交えて話していきます。
心が折れそうになりながらも、着物好きに一歩踏み出すまでの物語です。
- 着物に興味がある人
- 着物を着たいけど恥ずかしい人
- 周りから反対されて心折れそうな人
以上のような人に読んでもらえたらありがたいです。
●着物が目立つ。「なんで着物なの?」
着物を着ようと思って一番最初に立ちはだかる壁は外に着ていく恥ずかしさです。
じろじろ見られるかな?目立つかな?恥ずかしいかな?
そんな風に思うなら着るなよ。っと聞こえてきそうですが、慣れないことをするのは勇気がいります。
しかも世の中のほとんどの人が洋服を着ている中で、あえて着物を着る。
周りと違うことをするのだから誰だって勇気が必要です。
私も何でもない日に浴衣を着てスーパーに買い物に行くだけでめちゃくちゃドキドキしました。
そんなに都会でもなく、夜も遅かったので人通りは少なかったですが、ちょっとした冒険でした。
目立つだろうか、レジとかで驚かれるかな?とか思ってましたが特に何もありませんでした。
いつも通りの道を歩き、いつも通り買い物をしてお会計して帰りました。
誰も私がどんな服着てるかなんて興味ないし、見てないやろー!自意識過剰やったかなっていうのが素直な感想でした。
逆に意識しすぎてて恥ずかしかったです。
その後、部屋着は浴衣。近所の買い物やお出かけもすべて浴衣や着物で出歩くとすんなり慣れました。
通行人の心が読めるわけではないので、真実はわからないですが、ほとんどの人はすれ違う人が何を着てるかなんて興味ありません。
そう思えたとき1つ目の壁は突破しました。
●家族の理解。「恥ずかしいから辞めてほしい。」
次に感じた壁はなかなか手ごわいです。
それは家族に理解してもらうことです。
今まで普通に洋服を着て過ごしていた人が、急に着物や浴衣ばかり着るようになったら家族は驚きます。
通行人は他人なので気になったとしてもわざわざ声をかけてきたりしません。
そんな人もいるんだろうなーぐらいで終わりです。
でも家族となると違います。
なんで着物なの?着ないでほしいというようなことを言われることもあるかもしれません。
正直最初にそのようなことを家族から言われたときはとてもショックを受けました。
なんで好きな服を着ることすら許されないのだろう。
洋服なら、みんなが着ているような服なら何も言われないのに
和服だとダメな理由って何だろうと。
なんでわかってくれないのだろうと独りよがりなことを思いました。
しかし、家族としては
- 近所でうわさになるかもしれない。
- 着物や浴衣で出歩くなんて目立って困る。一緒に歩けない。
- 自分も同じように見られるかもしれない。
以上のような気持ちになるかもしれません。
これはちゃんと考えれば当たり前の気持ちです。
着物を着ようと決心して外へ出たとき、とっても勇気がいりました。
変に見られないか、心配になりながらも行動したから、今の自分があります。
世間の視線を超えて自分らしく生きれるように変化できたのです。
でも家族はそんなの知りません。
自分らしく生きる!私は着物が着たいんだー!と勝手に進みだしても家族がいきなりついていけるはずがありません。
だからこそ家族の気持ちも大切にしてあげなければいけません。
家族が見てもかっこいいと感じてもらえる着物の着方を目指していく必要があります。
私の場合、やりたいと思ったらすぐやらないと気が済まないので、とりあえず持っていた浴衣3着をずっと着まわしていました。
サイズも体に合っていないし、帯もヘロヘロでだらしない帯しかなく、着姿は決してかっこいいとは言えませんでした。
誰でも最初は初心者です。洋服はたくさん着てきましたが、和服はほとんど着てきていません。
だから上手に着れなくて当たり前ですが、その格好で外に出れば家族が恥ずかしく思うこともわかりました。
そこでアンティークの着物を詰め放題のセールで買って、帯もAmazonで注文しました。
比較的サイズのあった着物に新しく買った帯を締めると着姿も少しすっきりとしてきれいな着姿に近づきました。
現状その着物コーディネートは家族からも認めてもらえているのでちょっとカフェに言ったり、お出かけの時に着ています。
初詣にも出かけました!
●着物警察「その着方は間違っている。」
最後の壁は着物警察と呼ばれる人たちです。
今はコロナで自粛警察が話題になっていますが、着物警察は正しい着物の着方をしていない人に難癖をつけたりする人達のことを言います。
着物警察については私が直接言われたりしたわけではないですが、着物業界で働いていて思ったことがあります。
着物警察はものすごく着物に詳しくて、伝統を大切にしている人が多いです。
それ自体はとても素晴らしいことなのですが自分が詳しいからといって、他人の服の着方にいちいち口出しするのは少し違う気がします。
着物の難しいところなのですが、着物の格。帯の格。素材や模様によって着れる場所や時期が決まっています。
着物の格については過去記事で簡単にまとめてるので気になる人はこちらもどうぞ
anone4sonone.hatenablog.com
洋服でも真冬に半袖はおかしかったり、近所のスーパーにドレスで買い物に行ったら変に見えるみたいな感じなのですが、
着物を着始めた初心者にはなかなか難しいです。
正直なところ、正式な場ではなく普段着であれば、
好きな時に 好きなものを 好きなように 着たらいいと思います。
しかし、伝統を大事にする衣服でもあるので考え方によってはそうはいかない部分もあったりします。
ルールに厳しい人がいろいろ言ってくることもあるかもしれません。
そんな時に知識がないと、自分の着方はみっともないのかもしれないと落ち込んでしまうかもしれません。
着物を着る自信がなくなってしまします。
そうならないためにも、最低限の着物知識は持っておいたほうがいいです。
知識を持ったうえで敢えて選んでいるコーディネートなら
自信もっていられます。
着物も普段着としてたくさん着ていいのです!でも批判する人の意見も考えてみてみました。
- 着物は行事で着る礼装。普段着ではない。
- 普通の人はみんな洋服を着ているそれが当たり前。
- 着物を着るのは普通ではない。
こういったイメージは確かにあります。
これだけ洋服が一般的な社会で着物を着るのは少数派であるのは事実です。
日本は同調圧力が強いので、変わった人を攻撃したがるのかもしれません。
しかし、着物もファッションです。
普段着として着物を着る人が増えれば偏見も誤解もなくなっていきます。
今は着物業界で働きながら、洋服にはない着物の魅力を広め、着たい人が好きなように着物を着て楽しめる未来を目指して発信活動やコンテンツの制作をしています。
そもそも、現代の着物ルールも時代の流れの中で変化してきたものです。
昔からの考え方、文化があるのが着物の魅力でもありますが、これからの若い世代が作っていく新しい着物文化も未来の伝統です。
すべてルールで縛ってしまうと新しい文化は生まれません。
着物は難しい。とっつきにくいとなってしまうと着る人が増えず、着物は衰退します。
古い考え方を取り入れつつ、新しい感性を取り入れられたらよりよい着物の未来が見えてくるのではないかと思っています。
●着物が着たいは変じゃない!堂々と楽しく着物を着る未来へ
ここまで着物を着たいと思ったときに感じた壁についてお話してきました。
- 世間の視線。
周りと違うことをすることは勇気がいります。でもそんなに気にされていません。
何を着ようと自由です。
みんなと違うことを主張すると同じ気持ちを持った人が集まってきます。
- 家族の視線
自分らしく生きることは素晴らしいことですが、なんでも自由にすればいいわけではありません。
ファッションなのだからみっともない恰好はダメです。
着物の良さを伝える努力をしましょう。家族が見ても素敵と思えるような着姿を目指しましょう。
- 着物警察の視線
着物は伝統だからこそいろいろなルールがあります。
もちろん古くからの考え方から学べる部分もあります。
否定するのではなく、古い考えも新しい感性も認め合うことが大切だと思います。着物についても勉強して自分の着姿に自信を持てるようになっていきましょうね。
着物を着たい!そう思えたことはとても素敵なことです。
でも着物を実際に着ようと思った時、着ていく場所がないとか、
うまく着れないから外には出れないという意見を職業柄よく聞きます。
私もそうでした。着物のハードルは、なかなか高いです。
着ようと思ってすぐ着れるものではないのが現状かもしれません。
でも、着物を楽しんでいる人はたくさんいます。
その中にはフォーマルな着物を着る人もいれば、お稽古で着ている人。
週末のお出かけで着ている人、洋服と着物を合わせてカジュアルに着る人。
いろんな人がいます。
着物も衣服です。あなただけの着方があってもいいんです。
それが新しい伝統になり、着物文化の未来を創ります。心が折れそうになった時にそんなこと書いてた人がいたなぁって少しでも思い出してもらえたらうれしいです。
私は着物業界のお仕事にもかかわっていますがまだまだ未熟です。
でも着物が好きで、着物の文化を守り、発展させていきたいと本気で思っています。
- 職人さんや技術を未来に繋いでいきたい。
- より安心して着物が買えるようにしたい。
- 着物の魅力を広めて、着物人口を増やしたい。
まだ自分の影響力は少ないですが、まずは着物たくさん着て楽しみながら
頑張っていきたいと思います。
最後まで読んでもらってありがとうございました。
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