aNone sOnone’s blog

工芸とアートで未来を作るブログ

「着物が着たい!」は変なのか?実体験で感じた着物の壁

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着物を着るのに立ちはだかる障壁 3つ

【工芸とアートで未来を創る】aNone sOnoneです。

今回は私が着物を着たいと思い立った時につき刺さった三つの視線についてお話します。

私が着物を着たいと思って感じた三つの視線。

  • 世間の目

着物を着ているだけで目立ってしまう。恥ずかしい。

  • 家族の目

普段着物への理解が難しい。へんな人と一緒だと思われたくない

  • 着物警察の目

着物のルールが厳しい

以上の三つの視線が私が着物を着ようと思い立った時に感じた視線です。

どれもなかなかダメージがありましたが、

現在はなぜそのような視線が向けられるのかを理解したうえでさらに着物が着たいという気持ちは強くなっています。

着たいものは着たいのです。その自分の気持ちに蓋をしないで自信を持ってください。

今回は現在着物業界のお仕事にもかかわっている私が着物を着たいと思った時の実体験を交えて話していきます。
心が折れそうになりながらも、着物好きに一歩踏み出すまでの物語です。

  • 着物に興味がある人
  • 着物を着たいけど恥ずかしい人
  • 周りから反対されて心折れそうな人

以上のような人に読んでもらえたらありがたいです。

着物が目立つ。「なんで着物なの?」

着物を着ようと思って一番最初に立ちはだかる壁は外に着ていく恥ずかしさです。

じろじろ見られるかな?目立つかな?恥ずかしいかな?

そんな風に思うなら着るなよ。っと聞こえそうですが、慣れないことをするのは勇気がいります。

しかも世の中のほとんどの人が洋服を着ている中で、あえて着物を着る。

周りと違うことをするのだから誰だって勇気が必要です。

私も何でもない日に浴衣を着てスーパーに買い物に行くだけでめちゃくちゃドキドキしました。
そんなに都会でもなく、夜も遅かったので人通りは少なかったですが、冒険でした。

目立つだろうか、レジとかで驚かれるかな?とか思ってましたが特に何もありませんでした。
いつも通りの道を歩き、いつも通り買い物をしてお会計して帰りました。
誰も私がどんな服着てるかなんて興味ないし、見てないやろー!自意識過剰やったなっていうのが素直な感想でした。
逆に気合入りすぎてて恥ずかしかったです。

その後、部屋着は浴衣。近所の買い物やお出かけもすべて浴衣や着物で出歩くとすんなり慣れました。

超能力で通行人の心が読めるわけではないので、真実はわからないですが、ほとんどの人はすれ違う人が何を着てるかなんて興味ありません。

そう思えたとき1つ目の視線の壁は突破しました。

家族の理解。「恥ずかしいから辞めてほしい。」


次に感じた壁はなかなか手ごわいです。

それは家族に理解してもらうことです。

今まで普通に洋服を着て過ごしていた人が、急に着物や浴衣ばかり着るようになったら家族は驚きます。

通行人は他人なので気になったとしてもわざわざ声をかけてきたりしません。

そんな人もいるんだろうなーぐらいで終わりです。

でも家族となると違います。

なんで着物なの?着ないでほしいというようなことを言われることもあるかもしれません。

正直最初にそのようなことを家族から言われたときはとてもショックを受けました。
なんで好きな服を着ることすら許されないのだろう。
洋服なら、みんなが着ているような服なら何も言われないのに
和服だとダメな理由って何だろうと。
なんでわかってくれないのだろうと独りよがりなことを思いました。

しかし、家族としては

  • 近所でうわさになるかもしれない。
  • 着物や浴衣で出歩くなんて目立って困る。一緒に歩けない。
  • 自分も同じように見られるかもしれない。

以上のような気持ちになるかもしれません。

これはちゃんと考えれば当たり前の気持ちです。

着物を着ようと決心して外へ出たとき、とても勇気がいりました。
変に見られないか心配になりながらも行動したから、今の自分があります。
世間の視線を超えて自分らしく生きれるように変化できたのです。

でも家族はそんなの知りません。

一人で自分らしく生きる!と勝手に進みだしても家族はついていけるはずがありません。

だからこそ家族の気持ちも大切にしてあげなければいけません。

家族が見てもかっこいいと感じてもらえる着物の着方を目指していく必要があります。

私の場合、やりたいと思ったらすぐやらないと気が済まないので、とりあえず持っていた浴衣3着をずっと着まわしていました。
サイズも体に合っていないし、帯もヘロヘロでだらしない帯しかなく、着姿は決してかっこいいとは言えませんでした。
誰でも最初は初心者です。洋服は30年ぐらい着てきましたが、和服はほとんど着てきていません。
だから上手に着れなくて当たり前ですが、その格好で外に出れば家族が恥ずかしく思うこともわかりました。

そこでアンティークのウールの着物を詰め放題のセールで買って、帯もAmazonで注文しました。

ウールの着物で新しく買った帯を締めると着姿も少しすっきりとしてきれいな着姿に近づきました。
現状その着物コーディネートは家族からも認めてもらえているのでちょっとカフェに言ったり、食事に言ったりするときに着たいと思っています。

分厚いウールの真冬用着物なので、真夏の今は着れないですが、次着れる時を楽しみにしています。

現代では着物は固定観念や間違ったイメージが広まっています。

  • 着物は礼装。普段着ではない。
  • 普通の人はみんな洋服を着ている。

これは着物業界が洋服の普及した時代に、洋服と共存することができず、礼装としての着物を打ち出して生き残る戦略をとったために起きています。

昔はみんな普段着として和服を着ていましたが、今は何でもないときに着物を着たら「どうしたの?」と思われてしまうのが現実です。
それは着物が普段着としての地位を洋服に奪われてしまった歴史があるからです。

実際に洋服の方が利便性が高かったり、形も素材もいろいろで魅力的な部分はたくさんあります。

洋服が悪いわけではなく、着物は時代の変化に対応しきれなかったとも言えます。

この事実は、すぐに変わることではありません。

しかし、着物もファッションです。普段着として着物を着る人が増えれば偏見も誤解もなくなっていきます。

今は着物業界で働きながら、洋服にはない着物の魅力を広め、着たい人が好きなように着物を着て楽しめる未来を目指しています。

着物警察「その着方は間違っている。」

もう一つの壁は着物警察と呼ばれる人たちです。

今はコロナで自粛警察が話題になっていますが、着物警察は正しい着物の着方をしていない人に難癖をつけたりする人達のことを言います。

着物警察については私が直接言われたりしたわけではないですが、着物業界で働いていて思ったことがあります。

着物警察とはものすごく着物に詳しくてなおかつ、伝統を大切にしている人が多いです。

それ自体はとても素晴らしいことなのですが自分が詳しいからといって、他人の服の着方にいちいち口出しするのは少し違う気がします。

着物の難しいところなのですが、着物の格。帯の格。素材や模様によって着れる場所や時期が決まっています。

着物の格については過去記事で簡単にまとめてるので気になる人はこちらもどうぞ
anone4sonone.hatenablog.com


洋服でも真冬に半袖はおかしかったり、真夏にダウンを着たりマフラー巻いてたら変に見えるのと同じなのですが、

着物を着始めた初心者にはなかなか難しいです。

正直なところ好きな時に 好きなものを 好きなように 着たらいいのですが、伝統を大事にする衣服でもあるのでそうはいかない部分もあったりします。

コートの話があるのですが、基本的に着物を外で着るときはコートもしくは羽織が必須とされています。真夏であってもです。一部例外もあります。

コートは訪問先についたら脱ぐのですが、羽織はそのまま部屋に入ることができます。

これだけ聞くとなんで?ってなりますよね。

ルールだけ押し付けられると初心者としては疑問だらけですが、
帯のお太鼓*1やお尻の部分を見せるのは、はしたない。
また、コートはチリ除けの役割があって、訪問先にチリやホコリを持ち込まないように外では必ずコートを着て、玄関で脱ぐというルールがあるそうです。
そうやって聞くと日本人の相手を思いやる気持ちや奥ゆかしさが感じられてその文化自体も素敵に感じます。

もちろん私もコート着たほうがいいとは思うのですが、時と場合によるとも思います。

そもそも現在の着物の着方は昔と比べると変わってきています。

洋服がまだなかった時代はもっと着物はラフでカジュアルに着られていました。

それが時代の変化に合わせて今の形になってきているのです。

昔からの考え方、文化があるのが着物の魅力でもありますが、これからの若い世代が作っていく新しい着物文化も未来の伝統です。

すべてルールで縛ってしまうと新しい文化は生まれません。

着物は難しい。とっつきにくいとなってしまうと着る人が増えず、着物は衰退します。

古い考え方を取り入れつつ、新しい感性を取り入れれたらよりよい着物の未来が見えてくるのではないかと思っています。

着物が着たいは変じゃない!堂々と楽しく着物を着る未来へ

ここまで着物を着たいと思ったときに感じた壁についてお話してきました。

  • 世間の視線。

周りと違うことをすることは勇気がいります。でもそんなに気にされていません。

何を着ようと自由です。

みんなと違うことを主張すると同じ気持ちを持った人が集まってきます。

  • 家族の視線

自分らしく生きることは素晴らしいことですが、なんでも自由にすればいいわけではありません。

ファッションなのだからみっともない恰好はダメです。

着物の良さを伝える努力をしましょう。家族が見ても素敵と思えるような着姿を目指しましょう。

  • 着物警察の視線

着物は伝統だからこそいろいろなルールがあります。

もちろん古くからの考え方から学べる部分もあります。

否定するのではなく、古い考えも新しい感性も認め合うことが大切です。

着物を着たい!そう思えたことはとても素敵なことです。
でも着物を実際に着ようと思った時、着ていく場所がないとか、
うまく着れないから外には出れないという意見を職業柄よく聞きます。

私もそうでした。着物のハードルは、なかなか高いです。

着ようと思ってすぐ着れるものではないのが現状かもしれません。

でも、着物を楽しんでいる人はたくさんいます。

その中にはフォーマルな着物を着る人もいれば、お稽古で着ている人。

週末のお出かけで着ている人、洋服と着物を合わせてカジュアルに着る人。

いろんな人がいます。

着物も衣服です。あなただけの着方があってもいいんです。
それが新しい伝統になり、着物文化の未来を創ります。心が折れそうになった時にそんなこと書いてた人がいたなぁって少しでも思い出してもらえたらうれしいです。

私はまだ冬着物しかもっていないですし、着物業界のお仕事にもかかわっていますがまだまだ未熟です。

自分で満足に着物を着ることすらできません。

でも着物が好きで、着物が文化を守り、発展させていきたいと本気で思っています。

  • 職人さんの技術の価値を高めて、後継者の育成。
  • より安心して着物が買えるようにしたい。
  • 着物の魅力を広めて、着物人口を増やしたい。

まだ自分の影響力は少ないですが、まずは着物たくさん着て楽しみながら

頑張っていきたいと思います。

最後まで読んでもらってありがとうございました。

これからも工芸や着物について記事を書いていきたいと思うので覗いてもらえたらうれしいです。

着物の魅力が伝わる漫画紹介記事
「恋せよキモノ乙女」
anone4sonone.hatenablog.com
「チマちゃんの和箪笥」
anone4sonone.hatenablog.com

普段着物について語った過去記事。
anone4sonone.hatenablog.com

風呂敷の魅力紹介記事
anone4sonone.hatenablog.com



*1:女性の帯を背中で結んだ部分