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着物を展示会で買うのは安いのか?

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着物を展示会で買うのは安いのか?

【工芸とアートで未来を創る】aNone sOnoneです。

着物の業界に関わりながら仕事している私が着物に興味を持った人が失敗しない着物の買い方についてお話します。

今回はセールのようで安いと思われがちな「展示会」がどんな人に向いているかについてです。

  • 着物に興味をもった人
  • 着物の展示会に興味がある人
  • 着物を買いたいけど、どこがいいかわからない人

以上のような人に読んでもらえたらありがたいです。

結論として展示会は高い

まず結論から言うと展示会は着物がお得に買えるか?という疑問に答えるなら、いいものは高いが正解です。

これは展示会のビジネス構造によるところも多いので詳しく解説していきます。

展示会はバーゲンセールのようなものというのは間違いです。

着物の流通について

まずそもそもの着物の流通についてですが、

着物を作る職人、生産者(メーカー)→産地問屋→集散地問屋(京都)→地方問屋→売店着物を買う人(消費者)

以上の流れが一般的です。

展示会は小売店が行うのが一般的ですが、着物を作っているメーカーから小売店に商品が来るまでには約3つぐらいの問屋さんが挟まります。

メーカーで作られた着物はまずその地域の問屋さん。西陣織なら京都の西陣問屋、加賀友禅なら金沢の産地問屋さんにまず卸されます。

産地問屋さんに卸された着物はすべて一度京都に集まります。そして京都から全国へ送られます。

売店のある地方の問屋さんに卸され、そこから小売店に卸された商品を私たち(消費者)が見ていることになります。

問屋さんは商品を仕入れて、管理し、卸すことでマージンを取って利益を出しています。

そのため、売店に届くまでにたくさんの問屋さんを経由して流通が複雑になるほど着物の値段は高くなります。

この流通は物を商品として売っていれば必ずあることですが、時代の流れとともに省略されたりしている部分も出てきています。

しかし、着物業界は古い体制が残っているのでたくさんの問屋さんが挟まるこの流通が色濃く残っているのが現状です。

着物の値段が高くなりやすい原因の一つにこの昔からの流通システムにあります。
現在は飲食店でも生産者から直接食材を仕入れていい食材を安く仕入れたり、
大手のファッションブランドだとユニクロのように自社で工場を持って生産し、自分で店舗も持って小売りをすることで価格を下げている企業もあります。
スーパーでも自社ブランドの商品は安かったりするのは流通による経費が掛からないからですね。

着物にはたくさんの職人さんの熟練の技術がつかわれていています。そのため高価になるものが多いです。
安い賃金で働かされれば職人の生活はできなくなりますし、技術の継承もできません。技術やクリエイティブな仕事には正当な対価が必要です。
ビジネスである以上、どこにお金をかけてお客様にどんな商品をどんな方法で届けるのか、業界が変わっていかなければいけない部分も多いです。

展示会の商品は借りているからより高くなる。

さて、着物の流通について大きな流れがわかったところで、展示会についてさらに深堀りしていきます。

展示会では通常の呉服店(小売店)に置いている商品だけでは商品の種類も数も足りないので、たくさんの商品を集めます。

その時に小売店は商品を仕入れて買ってくるのではなく、借りてきています。

売店も展示会のためにたくさん商品を買って仕入れても、売れなければ大量の在庫を抱えるためリスクになります。

そうならないように商品を問屋さん経由でメーカーから借りてきます。

ただし、メーカーも売れなければ返品されるリスクがあるので通常の価格と同じ値段では貸せません。

問屋:たくさん仕入れたいんだけど、在庫残るのは困るから商品買うんじゃなくて貸してくれないかな?
お客さんが買ってくれたらお金払います。

メーカー(生産者):うーん。買ってくれるなら10万だけど、貸す場合は売れなかったら返品されちゃうのか。こっちにもリスクあるから12万円なら貸すね。

問屋さんと以上のようなやり取りをすることになります。

このやり取りを産地問屋→集散地問屋→地方問屋と繰り返していくので仕入れている商品よりも借りている商品の方が流通のコストが高くなります。

こういう理由があるので、展示会で販売されている着物は通常販売されている着物よりも割高になることが多いのです。

展示会の目玉商品。安い着物には理由がある。

いやいや、展示会にも実際に安い着物とか売ってるから必ずしも高いものばかりじゃないという人もいるかもしれません。

実はそこにもちゃんと理由があります。

展示会で目玉商品になっている安い着物はデパートの在庫処分品と同じです。

着物は洋服のように消費の回転が速いものではありません。

そのため作られてから何年も問屋さんのなかで在庫として眠っていたり、小売店でも10年近く売れ残っている商品もあります。

そういった在庫品を展示会に並べることが多いです。

もちろん古いからといってすべて悪いものではないので掘り出し物がある可能性はありますが、値段が安いことにはちゃんと理由があります。

これは別に着物業界に限ったことではないですが、安くなっているものには必ず理由があります。
ビジネスである以上価値があるのであれば普通は安く売ったりしません。物販の場合は在庫を管理するのにも経費が掛かります。安くしても売ってしまいたい。
安い値段目当てで来るお客さんを集めたいので安いものを置いているのです。

展示会にかかる経費と着物の価格

展示会はイベントなので、規模にもよりますが会場を借りる費用や芸能人などを呼んだりと別の費用が掛かることもあります。

そういった広報や集客のためにもお金がかかっているのでその分も着物の値段に上乗せされています。

こうやってビジネスの構造を考えていくと展示会で販売している着物がお得ではないことが多いことがわかってくると思います。

さらに、着物の場合は生産者であるメーカーに販売価格を決定する権利はありません。

メーカーは問屋さんに出荷する金額は決めることができますが、実際に店頭で販売する価格は決めれません。

販売価格は小売店が決めます。そのため、メーカーの人間がみても驚くような値段がついた帯や着物も存在したりします。

200万ぐらいの高い値段をつけてある着物を販売会で着つけられて、「気に入って買ってくれるなら90万まで下げます!」みたいにあり得ない値下げが行われたりもします。

これはものすごくお得に見せているだけで、実際はそんなにお得ではありません。

適正価格がわかりにくいので知識がないまま、言われるままに買ってしまうともったいない場合もあります。
ただし、これは一部の良くない呉服屋さんがやっているだけなので、もちろん良心的ないい呉服屋さんもたくさんあります。

そのため、信頼できる呉服屋さんを見つけることが着物を買ううえで、とても重要になってきます。

展示会のメリット

ここまでの内容だと展示会にメリットなんて何もない。

高いし、売りつけられるからよくない!と思うかもしれませんが、メリットもあります。

それはたくさんの着物が一か所に集まっていることです。

着物は洋服のように大量生産していないものが多いです。

作っているメーカーの規模やブランドにもよりますが、色のバリエーションを含んでも日本に50本ぐらいしかない帯や、作家さんの1点もの着物なんてものもあります。

着物の場合は気に入ったものに出会えるかどうかがすごく大切です。そのためにはたくさんの着物と出会う必要があります。

高い買い物なので興味があるものすべて買っていたらお金がいくらあってもたりません。

着物は恋愛に似ているという話がありますが、まさにそうだなって思います。

たくさんの異性に出会ってみないと自分にふさわしい人なのかわかりません。

そういう意味ではいろんなお店の着物が集まる展示会は恋愛でいうと、婚活パーティーみたいなものかもしれません。

たくさんの着物を集めて出会いの場を提供してくれているので、その分費用は掛かります。しかし、たくさんの着物と出会うことができるので運命の着物に出会える可能性は高いです。

展示会のいい点、悪い点を知ったうえでうまく使う。

結論として、展示会はいいものは高い値段で販売されています。

展示会におすすめな人

  • 着物にはお金をかけてもいいものが欲しい人
  • 本当に自分の好みに合った着物をたくさんの中から見つけたい人
  • 自分で好きな着物とそうでない着物が判断できる。
  • 着物について最低限の知識がある。

販売員の意見に流されないくらいの知識があって、ある程度お金をかけれる人にはおすすめ

展示会がおすすめでない人

  • 着物の初心者さん。
  • 着物の知識がない人。
  • 自分で良しあしが判断できない人。
  • おすすめされたときに断るのが苦手な人。

お金を出せば物はいいものが買えるかもしれないが、好みのものが選べなかったり、言われるままに買ってしまって後悔する可能性があるのでおすすめできません。


昔のネットの記事などを読むと展示会での強引な販売や、販売員の失礼な態度などに対する怒りや悲しみの文章がたくさんあります。

着物を売る側はまだまだ改善が必要です。お客様に安心して購入できる場所を作ることがこれからもっと求められていくと思います。

着物を買う側も、どういうところに買いに行くのか、自分の求める価格帯やジャンルに合っているのか勉強する必要があります。

商店街にある服屋さんと都会の駅前ビルに入ったブランド店では置いてある洋服も、来るお客さんも、接客の仕方も違います。

洋服ならわかるのに、和服だとお店の違いがわからないのが現状難しいところです。

情報が少なくて知らないがために、悲しい思いをしたり、着物を嫌いになったりする人もいます。

そういった人が一人でも少なくなるようにこれからも情報発信していきたいと思います。

最後まで読んでもらってありがとうございました。

これからも工芸や着物について記事を書いていきたいと思うので覗いてもらえたらうれしいです。

着物の魅力が伝わる漫画紹介記事
「恋せよキモノ乙女」
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「チマちゃんの和箪笥」
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普段着物について語った過去記事。
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