生糸と練糸について。着物に使われる絹糸の種類。
●生糸と練糸の違い
人生が楽になる着物ブログ、あのねです。
アートと染織を学んできて、現在着物メーカーで働く私が着物で毎日が楽しくなるお話をしています。
今回は着物の生糸(きいと)と練糸(ねりいと)は何がちがうの?というお話です。
このサイトに来て頂いているということは、着物に興味をもって来てくれた思うので、
着物業界で働く私が、絹糸の種類について説明していきますね。
着物の基礎知識をわかりやすく学びたい人におすすめです!
● 実は生糸と練糸はおんなじ絹糸です!
生糸と練糸は見た目も質感も全然違うのに同じ絹糸なんです!
- 生糸(きいと)
触った感じが少し硬くてシャリシャリしています。
- 練糸(ねりいと)
さわり心地が柔らかく、光沢感が強いです。皆さんがイメージする絹糸はほとんどがこのイメージだと思います。
蚕さんが繭を作るのにはいた糸をそのままの状態で取り出したのが生糸。表面を洗い落とした状態が練糸です。
●生糸とは蚕さんが吐き出した繊維そのもの!
生糸とは
絹糸の原料そのままが生糸。
そもそも絹糸は蚕さん。簡単に言うと蛾の幼虫さんが成虫になるときに繭を作るんですが、その時に吐く糸を使ってできています。
実はこの繭を作るときの糸ですが、蚕さんは約1200メートルもの長い糸をはくんですね。
この糸からできた繭をお湯につけて糸の端からするするっと引っ張ってきたものが生糸になるんですね。
蚕さんが作った糸をほぼそのまま使うのが生糸です。
ちなみにこの生糸を使った織物のことを生絹(すずし)とも言います。
一般的にイメージする絹糸と違って、硬くて張りがあり、シャリシャリした質感が特徴です。織物にすると透け感の表現もしやすい繊維です。
実は、この生絹はものすごく昔から使われていたようで、十二単は色を重ねるようにして着ていくのですが、この生絹の透け感を使って色の重ね方を楽しんでいたそうです。
昔は生糸を練糸に加工する技術がまだ不完全だったために生糸が主流だったようです。
●練糸は生糸を加工したもの!
練糸
生糸を使いやすく加工したのが練り糸。
生糸を練糸にするには精練(せいれん)という作業が必要になります。
生糸の質感が固くてシャリシャリしているのは、表面をセリシンという物質がコーティングしているからなのです。
精練を簡単に説明すると、そのセリシンを洗い流してあげる作業です。
そうすると、セリシンの中からフィブロインという繊維が出てきます。
これが光沢感と柔らかさを持った練糸なんですね。
現在では、絹糸を使ったほとんどの着物にこの練糸が使われています。
着物の美しい光沢感や、柔らかさはこの練糸を作る技術。精練によって作られていたんですね。
●生糸は練糸の元の姿。精練によって特徴も大きく変わります。
ここまで、生糸と練糸の違いについてお話してきました。
まとめてみると、
- 生糸は蚕さんが吐いた糸そのもの。
- 生糸はかたくてシャリシャリした質感がある。
- 練糸は生糸を精練という作業でコーティングを落として作る。
- 練糸は光沢感が強く、柔らかい特徴がある。
以上のような内容でしたね。
このブログでは着物に少しでも興味を持ってくれる方が増えるように、
難しい染織の技術や着物の文化についてできるだけわかりやすく発信しています。
stand.fmというラジオアプリでも配信をしていますし、
Twitterでも、着物やアートで創るこれからの新しい未来について発信していますのでフォローしてもらえたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。